の頭に再び侮辱を加へしめないやうな強大な力の波が起らねばならぬ。現在私が自分の目的を達し得ないことは、私にとつては何でもないことだ。吾々は腹を立てず、怨を抱かずにゐるには、あまりに踏みつけられてゐることを感ずる。けれども私は、印度は懲罰の權力を振ふことによつてより利益を得ると公言することを控へなくてはならない。吾々は、世界のためになすべきより良き仕事と、宣べるべきよりよき使命を有つてゐる。
 私は夢想家ではない。私は實行的理想家でありたい。非暴力の宗教はただ聖徒や賢者のためにあるのではない。それは又普通人のためにあるのだ。暴力が動物の法則であるやうに、非暴力は人類の法則なのだ。動物にあつては精神は眠つてゐる、動物は體力の法則の他には何等の法則を知らない。萬物の靈長たる人間は、それよりもより高い法則――精神の力に從ふを要する。
 それ故に、私は敢て印度に自己犧牲といふ古い法則を提供したのだ。何となれば、サチヤグラハ(眞理の把持、眞理の力)及びそれから生れた「非協同」や「市民的不服從」は、受難の法則の新らしい名前に過ぎないからである。暴力の眞只中に於て非暴力の法則を見出した聖者たちは、ニユ
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