い」は、底本では「なさい」]。猫に喰ひ殺されようとしてゐる鼠が、猫に情をかけることは出來ない。故に、私はダイヤー將軍及その一味の者に對して、彼等の罪惡に相當する懲罰を加へよと叫ぶ人々の感情が分る。彼等は若し出來ることなら、ダイヤー將軍を八ツ裂きにしたいと思つてゐるのだ。私は自分が無力な弱者であるとは思つてゐない。ただ私は印度の力と自分の力をより良き目的のために用ゐたいと考へてゐるだけだ。
私の云ふことを誤解してくれては困る。力は體力から生ずるものではない。それは不屈不撓の意志から生ずるのだ。普通のズールー人は體力では普通の英國人よりも遙かに優れてゐる。所が、ズールー人は英國人の少年を見ると怖がつて逃げる。それは、その少年の持つてゐる拳銃、又は少年のために拳銃を用ゐる人を怖れるからである。彼等は死を恐れるのだ、從つて身體が逞しいのに似合はず臆病なのだ。吾々はこの印度に於て、十萬の英國人が三億の人間を脅かす必要のない事を直ぐ悟り得るであらう。それ故に、思ひ切つた情けは吾々の力の確認を意味する。文化的な情けと同時に、吾々の心の中に、ダイヤーやフランク・ジヨンソンの如き徒をして、敬虔な印度人
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