海岸の所はあるいは岩壁もあるし、あるいは浜となっているところもある、また海岸は雑木の生えているところもあれば、草原となっているところもあるが、とにかく森林をなしているほどのところは海岸から少し隔っている、その森林の樹木は、エゾマツとトドマツといっても宜しいのである、今申した海岸の小さな岡の辺で採集した植物は先ずこんなものである、ヨモギ、アキノキリンソウ、カワラナデシコ、シロワレモコウ、ハギ、ウシノケグサ、オタカラコウ、アキカラマツ、キタミアザミ、マイヅルソウ、ツルウメモドキ、ツタウルシ、ハナウド、ススキ、スゲ、サマニヨモギ、エゾノヨモギギク、ヤマハハコ、ハマシャシン(ツリガネニンジンの一品)、カワラマツバ、オオヤマフスマ、イワガリヤス、ナワシロイチゴ、コウゾリナ、クサフジ、などである、その内で、エゾノヨモギギクは日本での珍品といって宜しい植物である、それからこの岡の下で、チシマフウロを採集した、岡の北面の絶壁を海の方に向いて、下った所、岩壁の腰のあたりには、ポレヤナギが沢山に自生しているのを見た、それから、エゾイヌナズナは、丁度イワレンゲのように沢山生えておった、エゾノヒナノウスツボ、
前へ 次へ
全24ページ中6ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
牧野 富太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング