る。すなわちオランダイチゴ、ヘビイチゴ、イチジク、ノイバラの実などがそれである。
果実の食用となる部分は、果実の種類によってかならずしも一様《いちよう》ではない。モモ、アンズなどは植物学上でいうところの中果皮《ちゅうかひ》の部を食用とし、リンゴ、ナシなどは実を合成せる花托部《かたくぶ》を食《しょく》しており、ミカンは果内《かない》の毛を食し、バナナは果皮《かひ》を食し、イチジクは変形せる花軸部《かじくぶ》を食用に供《きょう》している。
いろいろの果実、すなわち実を研究してみるとなかなかおもしろいもので、ふつう世人《せじん》が思っているよりほか、意外な事実を発見するものである。次に四つの果実について、おのおのその趣味ある特状を述べてみましょう。
リンゴ
リンゴの果実は、これを縦《たて》に割ったり横に切ったりして見れば、よくその内部の様子がわかるから、そうして検《けん》して見るがよい。
その中央部に五室に分かれた部分があって、その各室内には二個ずつの褐色《かっしょく》な種子《たね》が並《なら》んでいる。そしてその外側に区切りがあって、それが見られる。すなわちこの区切り
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