クネンボ、ウンシュウミカン、ナツミカン、コウジ、ユズ、ベニミカン、ヤツシロミカン、レモン、マルブシュカン、トウミカン、コナツミカン、オレンジ、サンボウカン、ザボン、キシュウミカン(コミカン)、ポンカン(元来《がんらい》台湾産、九州に作っている所がある)などみなその果実の構造は同一で、いずれも甘汁《かんじゅう》もしくは酸汁《さんじゅう》を含んでいる毛がその食用源をなしているのである。これらミカン類の貴《とうと》さも、つまるところは前述のとおりその果内《かない》の毛に帰《き》するわけだ。
 ミカン類の果実は、植物学上果実の分類からいえば漿果《しょうか》と称すべきであるが、なお精密にいえば漿果中《しょうかちゅう》の柑橘果《かんきつか》と呼ぶべきものである。
 ミカン類の果実を剥《む》いて見ると、表面の皮がまず容易にとれる。その中には俗にいうミカンの嚢《ふくろ》が輪列《りんれつ》していて、これを離《はな》せば個々に分かれる。そしてその嚢《ふくろ》の中に汁《しる》を含んだ膨大《ぼうだい》せる毛と種子とがあって、その毛はその嚢《ふくろ》の外方の壁面《へきめん》から生じており、その種子は内方の底から生じている。つまり右の毛と種子とは反対側から出て、たがいに向き合っているのである。すなわち図上|左隅《ひだりすみ》にその毛の生じ具合《ぐあい》が示され、またそれとならんでその右隅には、成熟した毛が描かれている。子房《しぼう》がまだ若いときは(左側中央の図)、その各室内にまだ毛は生じていないが、花が終わって後|子房《しぼう》が日増しに大きくなるにつれ、漸次《ざんじ》にその外方の内壁《ないへき》から毛が生じ始める。そして後には図の下方にあるミカン半切《はんき》れ図が示すように、右の毛は嚢《ふくろ》の中いっぱいに充満《じゅうまん》する。
 右のとおり、その半切れ図で表《あらわ》してあるように、果実の中は幾室《いくしつ》にも分かれていて、この果実は実《じつ》は数個の一室果実から合成せられていることを示している。すなわち一花中に数子房があって、それがたがいに分立《ぶんりつ》せずして癒着《ゆちゃく》し、ここに複成子房をなしているのである。ゆえにその嚢《ふくろ》は数個連合してはいるが、これを離せば容易に離れて個々の嚢《ふくろ》となるのである。ただその外側に当たる外皮《がいひ》が割れ目なしに密に連合し
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