シの Morchella はドイツ名の Morchel をジレニウスという学者が変更した名、種名の esculenta は食用トナルベキの意である。
 この編み笠を冠ぶった姿のアミガサタケはなにも珍らしいほどのものではなく、五月の季節が来れば方々に生える地上菌で、その形が奇抜なものである。そしてその色は生ま黄色い灰白色で、なんだか毒ナバ(毒菌の意)らしく見える。西洋では昔からこの菌の食用になることを知っていた。
 しかしこの菌が食えると聞いたら、普通の人はその姿から推してこれを怪訝に思うであろう。そしてよほど物好きな人でないかぎり多分食ってみる気にはならないであろう。が、かつて友人の恩田|経介《けいすけ》理学士は、同君の宅の庭に幾つか忽然と生え出たこの菌をうまいうまいと食べた一人であった。同君は次の年もやはり生えると楽しんでいたが、どういうもんか、それ以来ちっとも顔を見せないとこぼしていられた。多分これはキノコがまた食われては大変だと恐れをなして引っ込んだんだろう。そしてこれを味わうにはその菌体に塩を抹して焼いて食ってもよいといわれるが、私はまだ食わんからその味を知らない。私の庭にも一
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