@しょうがないなあとつぶやく。
 この学名の Iris tectorum Maxim[#「Maxim」は斜体]. の tectorum は「家根ノ」あるいは「家屋ニ成長シテイル」との意味である。この種名はこの学名の命名者マキシモウィチ(Maximowicz)氏が日本で家根のイチハツを望み見て名づけたものである。そしてその研究命名の材料の一つは横浜付近で得たのだから、多分それは程ヶ谷町(保土ヶ谷町)で採ったのであろう。そして同地では今日でもなおイチハツの藁葺屋根が残っている。
 中国の書物の『秘伝花鏡《ひでんかきょう》』にある紫羅襴(イチハツ)の文中に「性喜[#(コノム)][#二]高阜墻頭[#(ヲ)][#一]種[#(レバ)]則易[#(シ)][#レ]茂[#(リ)]」とあるところをみれば、同国でも高い阜《おか》や墻《かき》の背に生えることがあると見える。そうするとこのイチハツはその生えているところがたとえ乾くことがあっても、それに堪え忍ぶ性質をもっていると思う。つまりその地下茎が硬質で緻密でよく水を抑留して長くその生命を保っているものとみえる。
 元禄七年(1694)にできた貝原益軒《かいば
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