[#「虫+也」、第3水準1−91−51]柳の詩あり略す又俗諺に昔し此所に大※[#「虫+也」、第3水準1−91−51]ありて人を害す大師これを悪み給ひて竹の箒もて大滝へ駈逐し玉ふゆへ大※[#「虫+也」、第3水準1−91−51]の怨念竹の箒に残れりそがゆへに当山の竹の箒を禁ず又駈逐の時後世若此山にて竹の箒を用ば其時に来り棲めと誓約し玉ふゆへとも云ふ並にとりがたし
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『紀伊国名所図会《きいのくにめいしょずえ》』三編、六之巻(天保九年発行)高野山の部に、この蛇柳の図が出ている。「渓の畔《ほとり》にありいにしへは大蛇ありて妖《よう》をなす時に弘法(大師)持咒《じじゅう》したまいければ大蛇忽ち他所にうつりて跡に柳生ぜり因て此名ありといふ、一説に遠く是を望めば蜿蜒※[#「梟」の「木」に代えて「衣」、第3水準1−91−74]娜《えんえんじょうだ》として百蛇の逶※[#「二点しんにょう+施のつくり」、第3水準1−92−52]《いい》するがごとし因て名づくといふ猶尋ぬべし

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夫木抄 正嘉二年毎日一首中
   咲花に錦おりかく高野山柳の糸をたてぬきにして
  
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