子孫が継げるので、その生存にとってはこの実の出来るのはじつに重大事件である。
 その甘い実を食って御馳走にあずかった鳥は、その花托壁に包まれた果実種子を糞と共にヒリ出して地に落し、そこにグミの仔苗が生えるのである。私の庭にナツグミとアキグミとの二つが偶然に生えたが、これは全く鳥のお蔭である。今にその樹が生長して実が生りだすと鳥君に対して有難うと御礼を言上せねばならないことになる。今また私の庭に二本のヤマブドウが生長しつつあるが、これも鳥君がどこかの深山からその種子を腹中へ入れて遠くここまで空中輸送をなし、我庭へ放下したものである。多分二、三年のうちには花が咲いて実が生るかもしれんと楽しんでいる。
 グミの樹の体上には枝でも葉でも花でも実でも、すべてに放射紋の鱗甲がこれを被覆して特徴を呈しており、この鱗甲は顕微鏡下での奇観である。
 グミの名は国によりグイミと呼ばれる。グイミは杭実《クイミ》、すなわち換言すれば刺《とげ》の実《み》の意である。すなわち刺枝ある樹になるのでグイミ、それが略されてグミとなったのである。グミの主品はナワシログミで胡頽子の漢名を有し、その樹には刺枝があってガラガラ
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