もたらしたものであろう。そしてそれが江戸を中心として漸次に関西ならびにその他の諸地方へ拡まっていったもののように想われる。そして江戸をはじめその後諸方でいろいろの方言が生まれたものであって、次のような多くの称えがある。すなわちそれは江戸ササゲ、トウササゲ、五月ササゲ、三度ササゲ、仙台ササゲ、朝鮮ササゲ、ナタササゲ、カマササゲ、カジワラササゲ、銀ササゲ、銀フロウ、銀ブロウ、フロウ(同名あり、不老の意)、二度フロウ、甲州フロウ、江戸フロウ、二度ナリ、信濃マメ、マゴマメ、八升マメであるが、江戸ではまたこれをインゲンマメと呼んでいた。飯沼慾斎《いいぬまよくさい》の『草木図説《そうもくずせつ》』では五月ササゲを正名として用い、トウササゲを副名としている。私の『牧野日本植物図鑑』にもゴガツササゲの名を採択して用いてある。
大槻文彦《おおつきふみひこ》博士の『大言海《だいげんかい》』(『言海』もほぼ同文)には本当のインゲンマメ(Dolichos Lablab L[#「L」は斜体].)と贋のインゲンマメ(Phaseolus vulgaris L[#「L」は斜体].)との二種がインゲンササゲすなわち隠
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