《アカアサ》の約と出ているが、この想像説には信を措き難い。貝原益軒《かいばらえきけん》の『日本釈名《にほんしゃくみょう》』には「藜《アカザ》、あかは赤なり、さはなと通ず赤菜なり」と書いてあるのも怪しい。
シロザは一つにシロアカザともアオアカザともまたギンザとも称える。その漢名は灰※[#「くさかんむり/櫂のつくり」、第3水準1−91−33]《カイテキ》である。葉心は白色あるいは微紅を帯びた白色の粉粒をその嫩葉に※[#「米+參」、第3水準1−89−88]布《さんぷ》している。
アカザもシロザも共にその葉が軟くて食用になる佳蔬であるから、その嫩葉を摘むことの出来る限り、大いにこれを利用して食料の足しにすればよろしい。
キツネノヘダマ
狐ノ屁玉《ヘダマ》、妙な名である。また天狗《テング》ノ屁玉《ヘダマ》という。これは一つの菌類であって、しかも屁のような悪臭は全然なく、それのみならずそれが食用になるとは聞き捨てならぬキノコ(木の子)、いやジノコ(地の子)であって、常に忽然として地面の上に白く丸く出現する怪物である。
五、六月の侯、竹藪、樹林下あるいは芝地のようなところに生えて吾人
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