rum Makino[#「Makino」は斜体] といわれる。このシロザは原野いたるところに野生しているが、アカザは通常圃中に見られ、あまり野生とはなっていないのが不思議だ。これは昔中国から渡り来ったもので中国の名は藜《レイ》である。また紅心|灰※[#「くさかんむり/櫂のつくり」、第3水準1−91−33]《カイテキ》、鶴頂草、臙脂菜《エンジサイ》の別名もある。
アカザの葉心は鮮紅色の粉粒を布きすこぶる美麗である。そしてその苗が群集して一処にたくさん生え嫩《わか》き梢《すえ》を揃えている場合は各株緑葉の中心中心が赤く、紅緑相雑わって映帯し圃中に美観を呈している。
茎はその育ちによって大小があるが、それが太くて真直ぐに成長したものは杖となる。中国の書物にも「老フル時ハ則チ茎ハ杖ト為スベシ」と書いてある。すなわちこれがいわゆる藜杖《れいじょう》でアカザの杖をついておれば長生きをするといわれる。
アカザはまた一つにアカアカザともオオアカザとも江戸アカザとも、またチョウセンアカザとも称する。そしてアカザの語原は判然とはよく分らないが、そのアカは無論赤だが、ザはどういう意味なのか。書物に赤麻
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