《しらいみつたろう》博士もいる。また人によってはアケビは開《ア》ケ肉《ミ》から来たものとし、また欠《アクビ》から来たものともしている。これは考えようではどちらでもその意味は通ずるが、アケツビの方がおかしみがあって面白く、そして昔に早くも※[#「くさかんむり/開」、17−13]とも山女とも書いてあるので、まずそれに賛成しておいた方がよいのであろう。が、この語原は若い女の前ではその説明がむつかしい。しかし今日ではシャーシャー然たる勇敢な女が多いから、かえって興味をもって迎え聴くのかも知れない。
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旧拙吟
女客あけびの前で横を向き
なるほどゝ眺め入つたるあけび哉
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元来アケビは実の名で、これは上に書いたように『新撰字鏡』に出ている。またその蔓の名はアケビカヅラであって、これは古く深江輔仁《ふかえのすけひと》の『本草和名《ほんぞうわみょう》』、源順《みなもとのしたごう》の『倭名類聚鈔《わみょうるいじゅしょう》』に出ている。
日本にはアケビが二つある。植物界では一つをアケビ、一つをミツバアケビといって分けてあるが、アケビはじつのところこの両
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