「くさかんむり/儡のつくり」、第4水準2−87−9]ハ藤也」とある右側にフヂカヅラ、左側にクヅフヂの訓が施してある。これは多分今いうフジのカズラ、クズ(葛)のカズラの意でつけたものと想像して可とも思われる。
本来藤はカズラ、すなわちツルのことであるから、今日花を賞するあのフジは藤の一字を用いたのではそのフジすなわち Wisteria(Wistaria)のフジにはならない。紫藤と書いて藤の上に紫の形容詞を加えてはじめてフジになるのだが、じつはこの紫藤は中国産であるシナフジ(Wistaria sinensis Sweet[#「Sweet」は斜体])の名で、今それを日本産のフジに適用することは出来ない。日本にはフジが二種あって、一つはノダフジ(Wistaria floribunda DC[#「DC」は斜体].)、一つはヤマフジ(Wistaria brachybotrys Sieb[#「Sieb」は斜体]. et[#「et」は斜体] Zucc[#「Zucc」は斜体].)で、この二つの品の総称がフジである。そしてこの二種は日本の特産で中国にはないから、したがって中国の名すなわち漢名はない。ゆえ
前へ
次へ
全361ページ中18ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
牧野 富太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング