荊)だと主張する人もある。私は今このハネズの実物についてはなんら考えあたるところもないので、まずまずここにその当否を論ずることは見合わせておくよりほか途がない。しかしそのうちさらに考えてなんとかこの問題を解決してみたいとも思っている。
ムクゲの葉は粘汁質である。私の子供の時分によくこれを小桶の中の水に揉んでその粘汁を水に出し、油屋の真似をして遊んだもんだ。
※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]冬とフキ
昔から我国の学者は山野に多い食用品のフキを千余年の前から永い間中国の※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]冬だと思い違いしていた。ゆえに種々の書物にもフキを※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]冬と書いてある。ところが明治になって初めて※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]冬はフキではないことが分ったが、それでもまだなお今日フキを※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]冬であるとしている人を見受けることがまれではない。殊に俳人などは旧株を墨守して移ることを知らない迂遠を演じて平気でいるのは世の中の進歩を悟らぬものだ。
フキは僧|昌住《しょうじゅう》の『新撰字鏡《しんせんじきょう》』にはヤマフヽキとあり、深江輔仁《ふかえのすけひと》の『本草和名《ほんぞうわみょう》』にはヤマフヽキ一名オホバとあり、また源順《みなもとのしたごう》の『倭名類聚鈔《わみょうるいじゅしょう》』にはヤマフヽキ、ヤマブキとある。これでみればフキは最初はヤマフヽキといっていたことが分る。すなわちこのヤマフヽキが後にヤマブキとなり、ついに単にフキというようになり今日に及んでいる。そしてフキとはどういう意味なのか分らないようだ。
フキはキク科に属していて Petasites japonicus Miq[#「Miq」は斜体]. なる学名を有し、我が日本の特産で中国にはないから、したがって中国の名はない。※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]冬は同じくキク科で Tussilago Farfara L[#「L」は斜体]. の学名を有し、これは中国には見られども絶えて我国には産しない。そして一度もその生本が日本に来たことがない。これは盆栽として最も好適なもので、春早くから数|※[#「くさかんむり/亭」、第4水準2−86−48]《てい》を立
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