カキツバタ一家言
牧野富太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)雄蕋《おしべ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)其|摺着《スリツクル》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)後藤※[#「犂」の「牛」に代えて「木」、第4水準2-14-90]春
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花がつみまじりにさけるかきつばたたれしめさして衣にするらん 公実
狩人の衣するてふかきつばた花さくときになりぞしにけり 基俊
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カキツバタはだれもよく知っているアヤメ科イリス(Iris)属の一種であって、Iris laevigata Fisch. の学名を有する。シベリア、北支那方面からわが日本に分布せる宿根草で、水辺あるいは湿原に野生し、わが邦では無論かく自生もあれど、通常は多くこれを池畔に栽えてある。
この草は冬はその葉が枯れて春に旧根から萌出し、夏秋に繁茂する。根茎は横臥し分枝し、葉は跨状式をなして出で、剣状広線形で尖
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