撥陵遠征隊
服部之総

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)剛愎《ごうふく》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大立物|大院君《たいいんくん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#疑問符感嘆符、1−8−77]
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「攘夷」は幕末日本の専売ではない。シナの方がもっと大規模でも深刻でもあった。そして朝鮮をこの点でシナや日本から区別するものがあるとしたら、明治八年までこの国だけは、断然攘夷戦勝国として、いい気持でふんぞり反えれたという点であろう。もっとも近代朝鮮の排外スローガンに「夷倭」とならべ記したのから弁じて、「攘夷」を欧米人に限られたことがらと見れば、明治八年日本に屈服したことなんか当然問題外となって、朝鮮はおよそ攘夷で負けた歴史を持たぬことになる――まことに大日本帝国にとっては、「併合」するに恥かしからぬ国柄であった!
 朝鮮攘夷運動の大立物|大院君《たいいんくん》は、摂政として全実権を収めていたから、幕末の副将軍家|水戸斉昭《
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