燃えて、ともすれば相手の返事も待たずに、その釣鐘型の乳房へ、手を触《ふ》れまじき様子だった。
「ほほほ。改《あらた》まっていうから、どれほど難《むず》かしい頼みかと思ったら、いっそ気抜けがしちまったよ。二時《ふたとき》でも三時《みとき》でも、あたしの体で足《た》りる用なら気のすむまで、ままにするがいいさ」
「うむ、そんなら、承知してくれるんだな」
「あいさ、承知はするよ。だがお前さん、抱いて寝ようというんでなけりゃ、どうする気なのさ。まさかあたしのこの乳を、切って取ろうというんじゃあるまいね」
「うふふ、つまらぬえ心配はしなさんな。命に別条《べつじょう》はありゃアしねえ。ただおめえに、そのまま真《ま》ッ裸《ぱだか》になってもらいてえだけさ」
「ええ裸になる。――」
「きまりが悪いか。今更きまりが悪いもなかろう。――十年振りで、おまえのような体の女に巡《めぐ》り合ったは天の佑《たす》け、思う存分、その体を撫で廻しながら、この紙に描《か》かしてもらいてえのが、おいらの頼みだ」
「そんならお前さんは、絵師《えかき》さんかえ」
「まアそんなものかも知れねえ」
「面白くもない人が飛込んで来たもん
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