《にい》さんは、お宝《たから》が欲《ほ》しいばっかりに、帰《かえ》って来《き》たのだと、自分《じぶん》の口《くち》からいってでござんす」
「金《かね》が欲《ほ》しいとの。したがまさか、お前《まえ》を分限者《ぶげんじゃ》だとは思《おも》うまいがの」
「兄《にい》さんは、あたしを囮《おとり》にして、よその若旦那《わかだんな》から、お金《かね》をお借《か》り申《もう》したのでござんす」
「ほう、何《な》んとして借《か》りた」
「いやがるあたしに文《ふみ》を書《か》かせ、その文《ふみ》を、二十五|両《りょう》に、買《か》っておもらい申《もう》すのだと、引《ひ》ッたくるようにして、どこぞへ消《き》え失《う》せましたが、そのお人《ひと》は誰《だれ》あろう、通油町《とおりあぶらちょう》の、橘屋《たちばなや》の徳太郎《とくたろう》さんという、虫《むし》ずが走《はし》るくらい、好《す》かないお方《かた》でござんす」
「そんなら千|吉《きち》さんは、橘屋《たちばなや》の徳《とく》さんから、その金《かね》を借《か》りて。――」
「はい。今頃《いまごろ》はおおかた、どこぞお大名屋敷《だいみょうやしき》のお厩《
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