通《とお》して、磁器《じき》の肌《はだ》のように澄《す》んだおせんの顔《かお》を、じっと見詰《みつ》めた。
「大《たい》そう早《はや》いの」
「はい。少《すこ》しばかり思《おも》い余《あま》ったことがござんして、お智恵《ちえ》を拝借《はいしゃく》に伺《うかが》いました」
「智恵《ちえ》を貸《か》せとな。はッはッは。これは面白《おもしろ》い。智恵《ちえ》はわたしよりお前《まえ》の方《ほう》が多分《たぶん》に持合《もちあわ》せているはずだがの」
「まァお師匠《ししょう》さん」
「いや、それァ冗談《じょうだん》だが、いったいどんなことが持上《もちあが》ったといいなさるんだ」
「あのう、いつもお話《はな》しいたします兄《あに》が、ゆうべひょっこり、帰《かえ》って来《き》たのでござんす」
「なに、兄《にい》さんが帰《かえ》って来《き》たと」
「はい」
「よく聞《き》くお前《まえ》の話《はなし》では、千|吉《きち》とやらいう兄《にい》さんは、まる三|年《ねん》も行方《ゆくえ》知《し》れずになっていたとか。――それがまた、どうして急《きゅう》に。――」
「面目次第《めんぼくしだい》もござんせぬが、兄
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