うろく》しちゃァいねえよ。ありゃァ菊之丞《きくのじょう》に違《ちげ》えあるめえ」
「確《たしか》にそうたァ申上《もうしあげ》られねえんで。……」
「おめえ、眼《め》が上《あが》ったな。判《わか》った。――もういいから帰《けえ》ンな」
「有難《ありがと》うござんすが、――親方《おやかた》、あれがもしか浜村屋《はまむらや》だったら、どうなせえやすんで。……」
「どうもしやァしねえ」
「どうもしねンなら、何《なに》も。――」
「聞《き》きてえか」
「どうか、お聞《き》かせなすっておくんなせえやし」
「浜村屋《はまむらや》は、役者《やくしゃ》を止《や》めざァならねえんだ」
「何《な》んでげすッて」
「口《くち》が裂《さ》けてもいうじゃァねえぞ。――南御町奉行《みなみおまちぶぎょう》の、信濃守様《しなののかみさま》の妹御《いもうとご》のお蓮様《れんさま》は、浜村屋《はまむらや》の日本《にほん》一の御贔屓《ごひいき》なんだ」
「ではあの、壱岐様《いきさま》からのお出戻《でもど》りの。――」
「叱《し》っ。余計《よけい》なこたァいっちゃならねえ」
「へえ」
「さ、帰《けえ》ンねえ」
「有難《ありがと
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