き》かせねえか」
 そういいながら、柘榴口《ざくろぐち》から、にゅッと首《くび》を出《だ》したのは、絵師《えし》の春重《はるしげ》だった。
「春重《はるしげ》さん、お前《まえ》さんいたのかい」
「いたから顔《かお》を出《だ》したんだがの。大分《だいぶ》話《はなし》が面白《おもしろ》そうじゃねえか」
 春重《はるしげ》は、もう一|度《ど》ニヤリと笑《わら》った。

    四

「ふふふふ、金《きん》の字《じ》、なんで急《きゅう》に唖《おし》のように黙《だま》り込《こ》んじゃったんだ。話《はな》して聞《き》かせねえな。どうせおめえの腹《はら》が痛《いた》む訳《わけ》でもあるめえしよ」
 柘榴口《ざくろぐち》から流《なが》しへ出《で》て来《き》た春重《はるしげ》の様子《ようす》には、いつも通《とお》りの、妙《みょう》な粘《ねば》りッ気《け》が絡《から》みついていて、傘屋《かさや》の金蔵《きんぞう》の心持《こころもち》を、ぞッとする程《ほど》暗《くら》くさせずにはおかなかった。
「てえした面白《おもしれ》え話《はなし》でもねえからよ」
「なに面白《おもしろ》くねえことがあるもんか。二十五|両
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