も速《はや》く人《ひと》に聞《き》かせたいとの自慢《じまん》からであろう。玉《たま》のような汗《あせ》を額《ひたい》にためながら、いずれもいい気持《きもち》でしゃべり続《つづ》ける面白《おもしろ》さ。中《なか》には、顔《かお》さえ洗《あら》やもう用《よう》はねえと、流《なが》しのまん中《なか》に頑張《がんば》って、四|斗樽《とだる》のような体《からだ》を、あっちへ曲《ま》げ、こっちへ伸《のば》して、隣近所《となりきんじょ》へ泡《あわ》を飛《と》ばす暇《ひま》な隠居《いんきょ》や、膏薬《こうやく》だらけの背中《せなか》を見《み》せて、弘法灸《こうぼうきゅう》の効能《こうのう》を、相手《あいて》構《かま》わず吹《ふ》き散《ちら》す半病人《はんびょうにん》もある有様《ありさま》。湯屋《ゆや》は朝《あさ》から寄合所《よりあいしょ》のように賑《にぎ》わいを見《み》せていた。
「長兄《ちょうあに》イ。聞《き》いたか」
「何《なに》を」
「何《なに》をじゃねえ、千|吉《きち》がしこたま儲《もう》けたッて話《はなし》をよ」
「うんにゃ。聞《き》かねえよ」
「迂濶《うかつ》だな」
「だっておめえ、知《し
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