たことのねえ手筋自慢《てすじじまん》。あっしゃァ質屋《しちや》の質《しち》の字《じ》と、万金丹《まんきんたん》の丹《たん》の字《じ》だけしきゃ書《か》けやせんが、おせんは若旦那《わかだんな》のお名前《なまえ》まで、ちゃァんと四|角《かく》い字《じ》で書《か》けようという、水茶屋女《みずぢゃやおんな》にゃ惜《お》しいくらいの立派《りっぱ》な手書《てが》き。――この通《とお》り、あっしがふところに預《あず》かっておりやすから、どうか親船《おやぶね》に乗《の》った気《き》で、おいでなすっておくんなせえやし」
「安心《あんしん》はしているけれど、ちっとも速《はや》く見《み》たいのが人情《にんじょう》じゃないか。野暮《やぼ》をいわずに、ちょいとでいいから、ここでお見《み》せよ」
「堪忍《かんにん》しておくんなさい。道《みち》ッ端《ぱた》ではお目《め》にかけねえようにと、こいつァ妹《いもうと》からの、堅《かた》い頼《たの》みでござんすので。……」
「はてまァ、何《な》んという野暮《やぼ》だろうのう」
「どうか察《さっ》しておやンなすって。おせんにして見《み》りゃ、自分《じぶん》から文《ふみ》を書《
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