と》でも出来《でき》たのかい」
「なんでそんなことが。……」
「ねえンなら、よかろうじゃねえか」
「でもお母《っか》さんが。――」
「お袋《ふくろ》の顔《かお》なんざ、生《うま》れた時《とき》から見《み》てるんだろう。もう大概《たいがい》、見《み》あきてもよさそうなもんだぜ」
「そうだ、おせんちゃん。帰《けえ》る時《とき》にゃ、みんなで送《おく》ってッてやろうから、きょう一《いち》ン日《ち》の見世《みせ》の話《はなし》でも、聞《き》かしてくんねえよ」
「お見世《みせ》のことなんぞ、何《な》んにも話《はなし》はござんせぬ。――どうか通《とお》しておくんなさい」
「紙屋《かみや》の若旦那《わかだんな》の話《はなし》でも、名主《なぬし》さんのじゃんこ[#「じゃんこ」に傍点]息子《むすこ》の話《はなし》でも、いくらもあろうというもんじゃねえか」
「知《し》りませんよ。お母《っか》さんが風邪《かぜ》を引《ひ》いて、独《ひと》りで寝《ね》ててござんすから、ちっとも速《はや》く帰《かえ》らないと、あたしゃ心配《しんぱい》でなりませんのさ」
「お袋《ふくろ》さんが風邪《かぜ》だッて」
「あい」
「そい
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