、どれだけいいか知《し》れねえからの。いやもう、浮世《うきよ》のことは、何《なに》をおいても女《おんな》が大事《だいじ》。おいらも今度《こんど》の世《よ》にゃァ、犬《いぬ》になっても女《おんな》に生《うま》れて来《く》ることだ。――はッくしょい。これァいけねえ。みんなが急《きゅう》に散《ち》ったせいか、水《みず》ッ洟《ぱな》が出《で》て来《き》たぜ。風邪《かぜ》でも引《ひ》いちゃァたまらねから、そろそろ帰《かえ》るとしべえかの」
「おッと、飴屋《あめや》さん」
「はいはい、お前《まえ》さんは、何《な》んであっちへ行《い》きなさらない」
「行《い》きたくねえからよ」
「行《い》きたくないとの」
「そうだ。おいらはこれでも、辱《はじ》を知《し》ってるからの」
「面白《おもしろ》い。人間《にんげん》、辱《はじ》を知《し》ってるたァ何《なに》よりだ」
「何《なに》より小《こ》より[#「より」に傍点]御存《ごぞん》じよりか。なまじ辱《はじ》を知《し》ってるばかりに、おいらァ出世《しゅっせ》が出来《でき》ねえんだよ」
「お前《まえ》さんは、何《なに》をしなさる御家業《おかぎょう》だの」
「絵《え》
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