んごさゆう》をおッ取《と》り巻《ま》いて、買《か》うも買《か》わぬも一|様《よう》にわッわッと囃《はや》したてる賑《にぎ》やかさ、長屋《ながや》の井戸端《いどばた》で、一|心不乱《しんふらん》に米《こめ》を磨《と》いでいたお上《かみ》さん達《たち》までが、手《て》を前《まえ》かけで、拭《ふ》きながら、ぞろぞろつながって出《で》てくる有様《ありさま》は、流石《さすが》に江戸《えど》は物見高《ものみだか》いと、勤番者《きんばんもの》の眼《め》の玉《たま》をひっくり返《かえ》さずにはおかなかった。
「――さァさ来《き》た来《き》た、こっちへおいで、高《たか》い安《やす》いの思案《しあん》は無用《むよう》。思案《しあん》するなら谷中《やなか》へござれ。谷中《やなか》よいとこおせんの茶屋《ちゃや》で、お茶《ちゃ》を飲《の》みましょ。煙草《たばこ》をふかそ。煙草《たばこ》ふかして煙《けむ》だして、煙《けむ》の中《なか》からおせんを見《み》れば、おせん可愛《かあい》や二九からぬ。色気《いろけ》程《ほど》よく靨《えくぼ》が霞《かす》む。霞《かす》む靨《えくぼ》をちょいとつっ突《つ》いて、もしもしそこな
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