も》と思《おも》っていたおせんとは、つい食違《くいちが》って、一つ盥《たらい》で行水《ぎょうずい》つかう折《おり》もないところから、お岸《きし》はいまだにそのままのなりかたちを想像《そうぞう》していたのであったが、ふとした物音《ものおと》に駆《か》け着《つ》けたきっかけ[#「きっかけ」に傍点]に、半年振《はんとしぶり》で見《み》たおせんの体《からだ》は、まったく打《う》って変《か》わった大人《おとな》びよう。七八つの時分《じぶん》から、鴉《からす》の生《う》んだ鶴《つる》だといわれたくらい、色《いろ》の白《しろ》いが自慢《じまん》は知《し》れていたものの、半年《はんとし》見《み》ないと、こうも変《かわ》るものかと驚《おどろ》くばかりの色《いろ》っぽさは、肩《かた》から乳《ちち》へと流《なが》れるほうずき[#「ほうずき」に傍点]のふくらみをそのままの線《せん》に、殊《こと》にあらわの波《なみ》を打《う》たせて、背《せ》から腰《こし》への、白薩摩《しろさつま》の徳利《とくり》を寝《ね》かしたような弓《ゆみ》なりには、触《さわ》ればそのまま手先《てさき》が滑《すべ》り落《お》ちるかと、怪《あ
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