たとは、そりゃ本当《ほんとう》かの」
「えッ」
「本当《ほんとう》かと訊《き》いてるのさ」
「何《な》んで、あたしが嘘《うそ》なんぞを。――」
「そんならその薬《くすり》の袋《ふくろ》を、ちょいと見《み》せておくれでないか」
「袋《ふくろ》とえ。――」
「持《も》ってはいないとおいいだろう。ふふふ。やっぱりお前《まえ》は、あたしの手前《てまえ》をつくろって、根《ね》もない嘘《うそ》をついたんだの、おおかた好《す》きな男《おとこ》に、会《あ》いに行《い》った帰《かえ》りであろう。それと知《し》ったら、なおさらこのまま帰《かえ》すことじゃないから、観念《かんねん》おし」
「あれ若旦那《わかだんな》。――」
「いいえ、放《はな》すものか、江戸中《えどじゅう》に、女《おんな》の数《かず》は降《ふ》る程《ほど》あっても、思《おも》い詰《つ》めたのはお前《まえ》一人《ひとり》。ここで会《あ》えたな、日頃《ひごろ》お願《ねが》い申《もう》した、不動様《ふどうさま》の御利益《ごりやく》に違《ちが》いない。きょうというきょうはたとえ半時《はんとき》でもつき合《あ》ってもらわないことにゃ。……」
押《お
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