によりも微笑《びしょう》が先に立つ懐《なつか》しさでした。
だぼはぜ嬢は、相不変《あいかわらず》の心臓もので、ぼく達よりも一船前にホノルルを去った野球部のDさんやHさんに、生のパインアップルをやけに沢山託《たくさんこと》づけました。船室に置いておいたら、いつの間にか誰《だれ》か食ってしまい、ぼくには、そんな空《むな》しい贈《おく》り物をする、だぼはぜ嬢さんが哀《あわ》れだった。Dさんにファン・レタアも頼《たの》まれたのですが、それも結局、次から次へと託づけて行くうちに幾人もの男達に読まれて笑われ、どうにか当人に渡《わた》ったにしても、所詮《しょせん》、真面目《まじめ》には読んで貰えないものにと思われて気の毒だったのです。
また例の可憐な娘に、テエプを抛《ほう》る約束《やくそく》をしたら、その娘は下船するとき、彼女《かのじょ》の写真と手紙を渡してくれました。船が出てから、便所に持ちこんで読んだらこんな風に書いてありました。
※[#二重かっこ開く]二三日前、新聞でオリムピック選手達が、明日ホノルルに寄航するという記事を読み、坂本さんにも会えると思ったら、その晩|夢《ゆめ》をみました。
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