物させて貰《もら》いました。殊《こと》にハナウマイの涯《はて》しない白砂のなだらかさ、緑葉|伸《の》び張ったパルムの梢《こずえ》の鮮《あざ》やかさ、赤や青の海草が繚乱《りょうらん》と潮に揺《ゆ》れてみえる岩礁《がんしょう》の、幾十|尋《ひろ》と透《す》いてみえる海の碧《あお》さは、原始的な風景というより風景の純粋《じゅんすい》さといった感銘《かんめい》がふかく、ながく心に残っています。
 また、それ迄《まで》みも知らぬ赤の他人の邦人の方が、日本選手という名前だけで、自動車と昼食とアイスクリイムを提供してくれ、その上、細々と御世話を焼いて下さった御好意は、真実、日本人同士ならばこそという気持を味って嬉《うれ》しかった。あれ程《ほど》、損得から離《はな》れた親切さには、その後めったに逢《あ》いません。

 出帆《しゅっぱん》前の船に、またハワイ生れのお嬢《じょう》さん達が集まって、華《はな》やかな、幾分エロチックな空気をふりまいていました。
 往《い》きのときに会った、だぼはぜ嬢さんや、テエプを投げてやった可憐《かれん》な娘《むすめ》も、みんな集まっていて、会えばお互《たが》いに忘れず、な
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