く達が承諾《しょうだく》すると、それではと、大学生に、行く旨《むね》を返事していました。
 そこで四人が、表においてあった大学生のセダンに乗りこむと、彼《かれ》は、ロングビイチの海岸まで車を走らせて行きました。賑《にぎ》やかで面白《おもしろ》そうな海水浴場のほうは素通りにして、荒涼《こうりょう》とした砂っ原に降りると、大学生は上原の腕をとって、浪打際《なみうちぎわ》のほうへゆきます。さっきから大学生の上原をみる眼が少し変ってるなと思っていたら、大学生はやにわに、上半身、真裸《まっぱだか》になって、上原に角力《すもう》をいどみかけるのです。上原は、はにかんだような微笑《ほほえ》みを浮《うか》べながらも、シャツを脱《ぬ》ぎ裸になりました。
 ナルシサスもかくやと思われる美しい顔立ちに十九歳の若々しい肉体は、アポロのように見事に発育して引き締《しま》っています。大学生も毛深くて逞《たくま》しいヘラクレスみたいな身体をしていましたが、上原のすべすべした小麦色の皮膚《ひふ》を愛情のこもった眼付で、撫《な》でまわしていました。
 二人の相撲《すもう》は力を入れ、むきになっている癖《くせ》に、時々い
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