さ暖かさでした。ぼくがその路を、胸に紅《あか》く日の丸のマアクの入ったスエタアを着て、トレエニングパンツのゴムをぱちんぱちんとお腹にはじきながら、ぶらぶら何遍《なんべん》も往復し一体どんな歌をうたっていたと思います。おけさ節に、インタアナショナル、北大校歌に、オリムピック応援歌《おうえんか》、さては浪花節《なにわぶし》に近代詩といった取り交ぜで、興がわくままに大声はりあげ、しかも音痴《おんち》はこの上なしというのですから、他人には見せも聞かせもしたくない、のんびりした阿呆《あほ》らしい風景でした。
 そんなとき、いちばん誰|憚《はば》からず、あなたのことを想って、愉《たの》しいときを過しました。白昼、花々|匂《にお》う小路をさまよい、勝手な空想にふけっていれば、あなたはいつもぼくの身近く、浄《きよ》らかな童女のような相貌《そうぼう》で、ぼくにつき纏《まと》っていたのです。

     二十

 宿舎の近くに、アイスクリイムスタンドがあって、そこに、十八|歳《さい》になる、ナンシイという可愛《かわい》い看板娘《かんばんむすめ》がおりました。
 ぼくなぞは、夜間照明のベエスボオルなどを近所
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