ばず、千メエトルでは英国に遅《おく》れること五艇身、伊太利に遅れること三艇身、千五百メエトルに至《いた》るや、懸隔益々甚《けんかくますますはなは》だしく、英国と伊太利が二艇身半の差、日本は三艇身遅れて続き、更《さら》にブラジルが後を追う。
が、最後の五百メエトルに日本選手は渾身《こんしん》の勇を揮《ふる》って、ピッチを四十に上げ、見る見る中に伊太利へ追い着くと見え伊太利の舵手《だしゅ》ガゼッチも大喝《だいかつ》一声、漕手を励《はげ》まし、五万の群集は熱狂《ねっきょう》的な声援《せいえん》を送ったが、時|既《すで》に遅《おそ》く、一艇身半を隔《へだ》てて伊太利は決勝線に逃《に》げ込《こ》んだ。
決勝線突入後、他の三国選手が、余裕《よゆう》を示して、ボオトをランデングに附け、掛声《かけごえ》勇ましく、頭上高く差し上げたに引き替え、日本選手は決勝線に入ると同時に、精力全く尽き、クルウ全員ぐッたりとオォルの上に突っ俯《ぷ》し、森整調以下、殆《ほとん》ど失神の状態となり、矢野清舵手は、両手に海水をすくって戦友の背中に浴せ、比較《ひかく》的元気な松山五番もこれに手伝い、坂本四番の介抱《かいほう
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