ぼくには、少年の親切が、身に染《し》みて嬉《うれ》しかった。
これは後の話ですが、ぼく達が帰国する日も迫った頃《ころ》、ぼくは日本への土産《みやげ》に、自動車のナムバア・プレェトが欲《ほ》しく、それをこのリンキイに頼《たの》みますと、その日、子供に借りた自転車で、附近《ふきん》を乗り廻《まわ》していたぼくの瞳に、道路の真中で、五六人の少年少女が集まり、リンキイが先に立って、なに事か、一心不乱に、働いているのがみえました。
近よってみると、まだ新しいナムバア・プレェトが、アスファルト路の欠けた処を塞《ふさ》ぐために釘《くぎ》づけにしてあるのを、子供達が、各自家から持出した、金槌《かなづち》、やっとこの類で、取りはずすのに、大童《おおわらわ》でした。勿論、警官にみつかれば、叱《しか》られるのでしょうが、このアワア・ギャング達は、おめず臆《おく》せず、堂々と取ってのけ、その場で、ぼくにくれるのでした。
また、帰国が近づいた頃、うす汚い、真鍮《しんちゅう》のロケットをぼくにくれた、カアペンタアという八つ位のお嬢さんも、ぼくと仲が善《よ》く、再々、彼女の宅にも引張って行かれました。その娘《
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