まで、草の根を押《お》しわけて探してみましたが、処々に遺《のこ》っているコカコラの空瓶《あきびん》、チュウインガムの食滓《たべかす》などのほかには、水滴をつづった青草が、どこまでも意地悪く、羅列《られつ》しているばかりです。
大体、前の日、歩いた記憶《きおく》を辿《たど》り、さがしてみたのですが、一通り歩いても、どうしてもありません。リンキイ君が、五|仙《セント》玉をひとつ拾っただけで、「チェッ」と舌打ち諸共《もろとも》、銀貨を空に抛《ほう》りあげ、意気なスタイルをみせてくれただけの事でした。
歩きつかれ、探しつかれて、帰ってくると、みんな朝飯を食いに食堂に行った後のがらんとした寝室《しんしつ》を、コックの小母《おば》さんが、掃除《そうじ》していましたが、ぼくをみるなり「坂本さん。これあんたんじゃろう。随分《ずいぶん》、あんたを探していたのよ」と差出してくれたのは、失《な》くしたとばかり、思っていた蟇口です。ぼくのベッドの下に落ちていたそうで、この様子をぼくについて来て、ぼんやりみていた Mr. Lincoln いきなりぼくの手を握《にぎ》りしめ「ありがと。ありがと」と打振ります。
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