かだ。だから、私の恋愛結婚が非常にうまく行って、九人の孫、三人の曽孫があって、円満に行っているからというて、そう真似できるものだと思ったらいけない。
アメリカあたりはほとんど恋愛結婚であるが、不幸な女が沢山いる。大体名前ばかりの夫婦で、籍は入ったままで離縁にはなっていないが、おそらく半分近くは別居生活であじけない暮しをしている。というのは、生活費なり扶助料なり出す力のある人は、話合いでどんどん離縁するが、アメリカというところは離婚するのに非常に金がかかる。うっかり財産の話をすると、半分はとられてしまうそうだから、公式の宴会などにはみんな何々夫人として同伴で列席しているが、内実は別居生活で、まことに落莫たる日を送っている婦人が多い。
日本では、そんなことは存外少ない。そういうことをするほど余裕がないからでもあろうが、まあ女が辛抱しているのだろう。日本の婦人は夫に威張られて年中かわいそうな境遇にいるということも一面の事実であるが、宝塚の卒業生の場合などみると、破綻になっている人は、どちらかというと、むしろ芸術的に進んでいる人で、家庭的の人はちゃんと夫人としておさまっている。そこが実にお
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