が出来やう。私が改めて云ふまでもなくこれは社会党の主領もよく心得てゐることである。然しながら彼等の生活法が権力の永続を意味してゐるので、彼等は多数者の効力といふ神話を主張してゐる。如何にも、権力と強迫と従属とは群衆を基礎として成立せられてゐる。然しながらかの個人の自由を主張し得る自由なる社会の出現は到底望むことが出来ないのである。
 かく云ふ私は必ずしも地上の追放者と被圧制者に対する同情がないからではない。又彼等の送る生活が如何に悲惨であり、侮辱せられたるものであるかを知らないからではない。私は只だ善の創造力を欠如せるが故に群衆を唾棄するのである。否、否、私は只だ彼等が一団の群衆として何等の正義、平等をも代表し得ないことをあまりによく知りぬいてゐるから。彼等は人類の精神を圧服し、肉体を束縛した。群衆は人生を砂漠の如く単調灰色なるものと化さんことをのみ目的とする。彼等は常に独創と個人主義と自由思想の絶滅者である。『群衆は浅薄で不具で彼等の要求と勢力とは常に有害である。彼等に媚びる必要は決してない、彼等は只だ教育せらるべきである。私は群集に対して譲歩すべき何物も有してはゐない。私は彼等を訓
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