一等の定食を取つてゐるのぢやないんですか?』私はホテル・ド・ルウロオプで、子供達が、ミルクや、ココアや米や、フアリナや、白いパンや、チヨコレエトや、それから肉類をすらも食べてゐたのを見たのだ。
 私の訪問客は笑つた『私の学校にいらつしやい。』彼女は云つた。『そして御自分で御覧になれば分りますわ。』

     五

 私は行つて見た、しかも一度きりでなく幾度も行つて見た。其処では私はメタルの裏を見た。が、それでも、私はまだそれ程容易にそれを信ずることが出来なかつた。其の学校には、六十五人の子供達がゐた。彼等の食物は極く僅かで、質もみぢめなものだつた。
 其の中の大多数は、彼等の家の者や親戚の者が田舎から送るいくらかのもので扶助されてゐた。彼等は、僅かに暖かい着物を着、大部分は靴なしであつた。私の友達は、自分の時間と全精力とを、教育部のいろ/\の役所で浪費してゐた。
 彼女は、其の六十五人の子供達の為めに二十本の木のスプーンを手に入れるのに二週間かゝつた。役所に入る順番の列の中に立つて高官に会ふのを待ちながらまる一と月も骨を折つて、二十五足の雪靴を貰つた。そして、それ等のものを、六十五人
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