の子供達に、嫉妬や、憎悪の原因をつくらないやうに、悶着を起さないやうに分けてやるのには、深い思慮と、なか/\の機転が要る。
私は其の学校を訪ねる度毎に、何処かに何かの悪い事があるのだと云ふ事がだん/\に分つて来た。ホテル・ド・ルウロオプで子供等が受けてゐる保護と、クロンヴエルスキイ・プロスペクトの学校で子供達の受けてゐるものとの間の差別にはほかにどんな説明がつくのだらうか?
あそこでは、子供達は有らゆるものゝ最上のものを与へられてゐた。食物、着物、室、演奏会、舞踏――実は、一般の状態からするとそれは殆んど多すぎる程なのだ。
そして、此処では、子供達はほんの僅かなものしか与へられないで、いつも飢えてゐる。しかも其の僅かなものでも、それを手に入れるには非常な困難をしなければならないのだ。
六
直ぐに私は少々の事実を知つた。ロシアでは、すべての子供の為めの着物や食物が充分になかつたのだ。そしてボルシエヴイキは、外国の使者や派遣員や、通信員やに見せるために、各都市に幾つかの見世物学校を置く必要を考へ出したのだ。子供は見世物になつた。機会毎に展覧に供されて、書きたてられた。
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