つて来たが、しかし彼女の主なる興味は子供の世話にあつた。私を尋ねて来た時にも、彼女は或るインテルナト即ち少女達の為めの寄宿学校で舎監をしてゐた。彼女は私に、其の仕事や子供達に就いてのいろんな事を話し、又彼女の学校で必要品を手に入れるためのつらい争ひの事などをくわしく話してくれた。彼女の話は私はそれを本当と思へなかつた程、私がホテル・ド・ルウロオプで見た事とはまるで違つてゐた。しかし私は又此の友達が絶対に信頼していゝ正直な人だと云ふ事を知つてゐた。それは全く合点が出来ない事だつた。
 私は友達を一緒に夕飯を食べるやうにと引き止めた。私達はアメリカでお互に知つている人達についてだの、十月革命に就いてだの、又世界の被圧制階級の上に及ぼした其の影響だのに就いて話しながら、私は間にあはせの台所で薯の皮をむいてゐた。
『その皮をよそに棄てないでね。』と友達は私に注意した。
『どうして? 此の皮が何かにいるんですか。』と私は尋ねた。
『子供達がそれでポテトケエクをつくるのですよ、みんなはそれをどんなによろこぶか知れませんわ。』
『子供達?』私はびつくりした。『どうしてそんな事をするのです? 子供達は
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