つ払ひ込んでも、或は都合上支払ひを途中で中止してもそれは自由である。然し女が一度結婚保険に這入れば自分の名前、私生活、自尊、並に生命それ自身までも『死が分かつまで』捧げて一生夫の為めに支払はなければならない。更に結婚保険は女に生涯の従属を宣告し、個人としても公人としても全然不用な寄生的なものとする。男も亦《また》結婚税を支払ふ、けれど女よりその範囲が広いから、女の場合のやうに結婚は男を制限しない。男はただ自分の束縛を経済的の意味に於て一層感ずるやうになる。
かくしてダンテの地獄の扉銘が同一の力を以つて結婚に応用される『此処に入り込む汝等は全ての希望を後に見棄つ。』
結婚が失敗だと云ふことは余ほどの馬鹿でない以上は拒まないであらう。離婚の統計を一目見たら、誰れでも結婚がどれ程苦い失敗であるかを明らかに見ることが出来るだらう。また離婚法が緩慢になり彼女が段々ふしだらになつて来たと云ふ型にはまつたフイリスチン流の議論も左の事実を説明することは出来ないだらう。第一、結婚は十二に一つ離婚に終つてゐる。第二、一八七〇年以来、離婚の数が十万の人口に対して二八パーセントから七三パーセントに増加した
前へ
次へ
全18ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ゴールドマン エマ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング