関せず両性の結合に於て霊肉の一致が真に貞潔の条件として確認せらるゝとも人種の改善を妨ぐることは免ぬかれないであらう。
種族の為めと云ふ見解から見ると法律上及び宗教上の道徳の形式は今日に於ける最も進歩発達せる性的意識並びにその道徳に拮抗して充分にその論拠を維持して行くことは出来ないのである。道徳なるものは科学が不断の努力を以て既に発見し、又発見せんとしつゝある種族改善のために都合よき条件を支配せる律法中に新しき標準を求むると同時にそれ自からの中にも求めてゐるのである。此等の律法と此の意識は私の前の著述にも指摘した如く時として相争ふかも知れない。仮令ば性的理想主義者は恋愛を以て父母たることの唯一の条件なりと主張する。人種改良論者は多くの立派なる子供がその子供の父を少しも愛せざりし母より出生せりとの事実を主張する。性的理想主義者は恋愛の結合を主張し、改良論者は貞淑を以て不生産に対する多大なる責任を有すと云ひ、種族に対する浪費なりと叫ぶ。理想主義者は愛情の最も濃やかなる両親を以て最上なりと弁護する。改良論者は人道の為め最も必要なる事は男女が恋愛結婚の如何に拘らず、父母たることの資格に於て最も
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