_聖を汚すべからず、何人にまれ利益のために自己を犠牲とするは――仮令へ母たるべき律法上の権利のためである場合に於てすら尚ほ且つ美はしき感情を失ふものなることを記憶せよ。
 汝は後に破らるゝが如き結婚の約束をば決してなすべからず。
 汝は自から同等の程度を以て愛を注ぐ能はざる男子に愛せられんことを願ふこと勿れ。
 汝は野蛮なる現今の慣習に美はしき衣を着せその言行に於て虚偽の証明をなすべからず。
 汝は教育と芸術と智識と高貴なる心とを求めざるべからず。
 男女平等論を説くはまだしも、男子に比して女子の劣等なることを証拠立てんと試むる程無用なものはない。反省的生活は男子よりも女子の場合に於て遙かに強いといふことは男子の力が他の方面に発揮せらるゝと同じく必要なることである。男女の差異が自然的生活に於て欠くべからざるが如く又修養的生活に於ても最も根本的に必要なのである。実際に於て知らず/\女子は男子に男子は女子の仕事に協力してゐるのである。第三性といふが如きものは決して創造の事業に容喙《ようかい》することは出来ないであらう。女子の精神が組織的に男子の事業と理想に結び付けられ、男子の精神が又女子の
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