ててはゐない。而して自由結婚が屡々破壊せられるのは社会が自由結婚者を迫害するに多く起因してゐる。現在に於てすら法律は離婚に対して最も僅かの制裁をしか加へてはゐない、離婚を妨ぐるものは寧《むし》ろデリケートな感情、優しき良心、同情などいふ心理状態である。故に自由離婚は不真面目なる人々をして徒らに多大の自由を享楽せしむるものであるといふ反対論があるが、これは一応|尤《もっと》もな次第である。結局離婚問題はそれが現在の不幸を予防するとかしないとかいふ問題ではないのである。その主たる問題はその心理的効果が漸次美はしく権威ある恋愛生活を創造するに与《あず》かつて力あるといふ点である。
この証拠は今迄継続せられてきた努力中に発見し得られるのである。両親がその子供の結婚――特に娘等の――を定めた時でも、或は「私は自分の恋人を得られるであらうかどうであらう?」といふのが第一の問題であつた場合に於ても大体の上から観察する時は当時の恋愛といふものは非常に精神的の性質を欠いてゐた。又全精神生活の上には殆んど何等の影響をも及ぼさず、内的調和といふ様なものの上にも別段の要求を持つてはゐなかつた。要《ようす》る
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