……」と時江の声が、耳に入ったのか入らぬのか、滝人の眼に、突然狂ったような光が瞬《またた》いた。すると、(以下七四字削除)本能的にすり抜けたが、(以下六〇一字削除)異様な熱ばみの去らない頭の中で、絶えず皮質をガンガン鳴り響かせているものがあった。滝人は、いつのまにここへ来てしまったのか、自分でも判らないのであるが、そうして、永いこと御霊所の前で髪を乱し瞼を腫れぼったくして、居睡っているように突っ立っていた。

 三、弾左谿《だんざだに》炎上

 ついにあの男が、鵜飼十四郎に決定されたばかりでなく、**********************、滝人はまるで夢みるような心持で、自分の願望のすべてが充されつくしたのを知った。そして、しばらく月光を浴びて、御霊所の扉に凭《もた》れ掛かっているうちに、しだいとあの異様な熱ばみが去り、ようやく彼女の心に、仄《ほの》白い曙《あけぼの》の光が訪れてきた。それはちょうど、あの獣的な亢奮のために、狂い出したように動き続けていた針が、だんだんに振幅を狭めてきて、最後にぴたりとまっすぐに停まってしまったようなものだった。すると、その茫漠とした意識の中から、なん
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