揩キることあまりに高いために、すぐ人と争い猜疑心《さいぎしん》を燃やす癖がある。いまも這々《ほうほう》の体でもどったところへ新しい隊と聴き、彼はさながら身を焼くような思いだったろう。ところが、折竹が含みわらいをして、
「マアマア、話は全部聴いてからにし給え。それがね、探検隊とはいえ、じつに妙なものなんだ。触れ込みはそうでも、総員男女二人しかいない」
「なんだ?![#「?!」は横一列]」 ちょっと、ダネックの顔色が和《やわ》らいだ。案外、事実を知ったら吹きだすようなものかもしれない。彼は、バンドを揺《ゆす》って、嗤《わら》いながら立ちあがった。「そうか、其奴《そいつ》が、僕の『天母生上の雲湖《ハーモ・サムバ・チョウ》[#ルビは「天母生上の雲湖」にかかる]』における経験を聴きたいというのだね。よろしい、今夜そのちんまりとした探検屋に逢ってやろう」
アメリカ地理学協会「天母生上の雲湖《ハーモ・サムバ・チョウ》[#ルビは「天母生上の雲湖」にかかる]」攻撃隊は隊員二十一名、人夫は、苗族《ミョウツエ》、※[#「けものへん」に果、161−3]※[#「けものへん」に羅、161−3]《ローロー》、モッ
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