うずもれている、前人未踏の神秘境を指しているのだ。
 では、どこか? そんな土地がまだこの地球上にあるのかと、読者諸君は不審がるだろうが、あるとも大有りである。
「未踏地帯《テラ・インコグニタ》」と、精密な地図にさえ白圏のままに残された個所が、まだ四、五か所はある。それらの土地は、なにか踏みいれば驚天動地的なものがあるだろうと、聴くだに探奇心をそそりたてる神秘境なのである。
 そこでまず、選定会議にのぼった候補地をあげることにしよう。そうして、シトロエンの探検隊がこれからゆこうという場所が、いかにそれらさえも凌《しの》ぐ超絶的な地位にあるかということを、読者諸君にはっきりと知って貰《もら》おう。
[#ここから1字下げ、一つの行が複数行に渡る場合は2行目から2字下げ]
一、南米アマゾン河奥地の、“Rio Folls de Dios《リオ・フォルス・デ・ディオス》”の一帯。
二、北極にちかい、グリーンランドの中央部八千尺の氷河地帯にあるといわれる、“Ser‐mik‐Suah《セルミク・シュアー》”の冥路《よみじ》の国。
三、支那《しな》青海省の“Puspamada《プシパマーダ》”いわゆる
前へ 次へ
全91ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小栗 虫太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング