с求tカリンティアン倶楽部《クラブ》賞盃獲得艇『神秘《ミステリー》』とある……」
と艇長が属していた倶楽部旗を示したが、やがて法水は、呆気《あっけ》にとられた検事を前に、長い間《ま》を置いてから、
「なるほど、君の云うとおりかもしれんよ。この事件ではっきり区別できる色といえば、まず海の緑、空の紺青《こんじょう》、砂の灰――とこの三つしかない。ところが支倉君、この三色刷を見詰めているとだ。どうやら碑銘を読んでくれる、死人の名が判ったような気がしてきたよ」
と云うと、検事はその頁《ページ》をパタンと閉じて、嘆息した。
「すると、緑、紺青、灰――というと、この点十字の三角旗にある、色合の全部じゃないか。だが、その倶楽部にいた艇長は、すでに死んでいる……ああやはり、君は自分勝手で小説を作ったり、我を忘れて、豊楽な気分に陶酔しているんだ。そんな石鹸玉《シャボンだま》みたいなもので、あの海底の密室が、開かれると云うのならやって見給え。では、兇器をどこから捜し出すね。それに、あの室《へや》から姿を消したお化けは、いったい誰なんだ。また、あの時胸を抉《えぐ》られたにもかかわらず、八住《やずみ》は悲
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