とができると信ずるのである。
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ラインの河畔ウオルムスの城に、クリームヒルトという、容色絶美の姫君が住んでいた。ブルガンディーの王、グンテルの妹である。また、その下流低地にも、一つの城があって、そこには、ジーグフリードと呼ぶ抜群の勇士がいたのである。
ジーグフリードは、ニーベルンゲン族と闘って巨宝を獲たのであるが、それ以前、一匹の巨竜を殺したため、殺竜騎士《ドラゴンスレーヤー》の綽名《あだな》があった。
しかし彼は[#「しかし彼は」は太字]、そのとき泉にしたたる巨竜の血に浴したので[#「そのとき泉にしたたる巨竜の血に浴したので」は太字]、|菩提樹[#「菩提樹」は太字]《リンデン》の葉が落ちた肩一ヶ所のほかは[#「の葉が落ちた肩一ヶ所のほかは」は太字]、全身剣をはねかえす[#「全身剣をはねかえす」は太字]|鋼鉄[#「鋼鉄」は太字]《はがね》のような硬さになってしまったのである[#「のような硬さになってしまったのである」は太字]。
ところが、旅人の口の端を伝わり伝わりして、クリームヒルトの噂が、ジーグフリードの耳に達した。そこでジーグフリードは、ひそかに見ぬ
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